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ナージャ・トロコンニコワ『読書と暴動 プッシー・ライオットのアクティビズム入門』

<書誌情報>
タイトル:『読書と暴動 プッシー・ライオットのアクティビズム入門』
著者:ナージャ・トロコンニコワ
発売:2024年4月下旬より全国の書店・小売店へ配送予定(各種ECサイトでの予約・販売も順次対応します)
翻訳:野中モモ
解説:清水知子(東京藝術大学教授)
装丁:山中アツシ
デザイン:川名潤
仕様:304ページ、並製本、四六判変形
発行/発売:株式会社ソウ・スウィート・パブリッシング
価格:本体2,600円+税(2,860円)
ISBN:978-4-9912211-4-9

ロシアのフェミニスト・パンク・プロテスト・アート集団
プッシー・ライオット創立メンバーが

現代を生き抜くために必要な“実践的な知を10のルールに基づいて紹介する、異色の生き方の指南書(サバイバル・ガイド)

 

「どうしてプーチンのロシアは、私を刑務所送りにしたのだろう? 私は当時、無一文の22歳で、 3歳の女の子の若い母親だった。家父長制の世界に生きる女性アーティストで、ディオゲネスと行動の哲学とクィアのアイデンティティについての卒論を書いている学生だった――」(本文より)

「プーチンが最も憎んだバンドPussy Riotの創設メンバーによる、回顧録と行動指針の騒々しい融合」――カーカス・レビュー誌

カラフルな目出し帽。挑発的なライブ・パフォーマンス。FIFAワールドカップ決勝戦への乱入。結成時から現在に至るまで、常に世間の耳目を集めるロシアのフェミニスト・パンク・プロテストアート集団、プッシー・ライオットとはいかなるグループなのか? なぜ結成されたのか? その真の目的とは? 本著は、プッシー・ライオット創設メンバーであるナージャ・トロコンニコワがその全貌を明らかにした著書『Read & Riot』(2018年)の翻訳本です。

プッシー・ライオットの設立経緯から、かれらがロシア国内でおこなった数々のアクション、さらにはロシア当局に逮捕されたのちの苛烈極まる獄中生活までを綴ったトロコンニコワの手記でありながら、同時に、著者がそうした体験のなかから得た“実践的な知”を紹介する生き方の指南書(サバイバル・ガイド)とも言える内容の1冊。

ロシアでフェミニストでクィアであることの意味とは? アクティビズムは社会でどんな役割を果たすのか? アートとアクティビズムはいかに交差するのか? ハーバード大学やケンブリッジ大学で講演をおこなうアクティビストで、アイ・ウェイウェイやジェニー・ホルツァー、ジュディ・シカゴらの系譜に連なるアーティストのトロコンニコワが、カントからニーナ・シモン、あるいはウィトゲンシュタインからパンク・ソングの歌詞までを縦横無尽に引用しながら、そうした疑問の数々にユーモアたっぷりに答えていきます。

また本著には、キム・ゴードン(ミュージシャン)、オリヴィア・ワイルド(『ブックスマート』監督、俳優)によるあとがき、著者が日本版のために書き下ろしたまえがき、文化理論やメディア文化論を専門とする清水知子さん(東京藝術大学教授)の解説のほか、「あるプッシー・ライオットの推薦図書リスト」を収載しています。翻訳は野中モモさん、装丁は山中アツシさんによるものです。

【本書に登場する思想家・芸術家・アクティビスト】
ペーター・スローターダイク/パゾリーニ/フーコー/ヴィヨン/マヤコフスキー/ディオゲネス/マイケル・スタイプ/プルードン/カント/チョムスキー/D.A.プリゴフ/トリスタン・ツァラ/ヒューゴ・バル/アイ・ウェイウェイ/ナオミ・クライン/ティモシー・スナイダー/マーティン・ルーサー・キング・ジュニア/アレクサンドラ・コロンタイ/オレグ・クリーク/カジミール・マレーヴィチ/マクルーゼ/マルクス/ディアギレフ/ドゥボール/ゴダール/ブレヒト/バルト/ヴォルフガング・シュトレーク/スティグリッツ/ソウル・アリンスキー/エーリッヒ・フロム/ソルジェニーツィン/ジョージ・オーウェル/ハワード・ジン/ドストエフスキー/アンジェラ・デイヴィス/クロポトキン/エマ・ゴールドマン/ソルジェニーツィン/ユーリ・ガランスコフ/ジェイムズ・H・コーン/リチャード・ローティ/イヴァン・イリイチ/ティモシー・スナイダー/ベティ・フリーダン/フランツ・ファノン/ボーヴォワール/ジュディス・バトラー/ベル・フックス/ニーナ・シモン/ル・グウィン/ウィトゲンシュタイン、etc.

【目次】
文化労働者としてのアーティスト――日本版のためのまえがき
イントロダクション
ルール1:海賊になれ
ルール2:ドゥ・イット・ユアセルフ
ルール3:喜びを取り戻せ
ルール4:政府をびびらせろ
ルール5:アート罪を犯せ
ルール6:権力の濫用を見逃すな
ルール7:簡単に諦めるな。抵抗せよ。団結せよ。
ルール8:刑務所からの脱出
ルール9:オルタナティヴを創造せよ
ルール10:ビー・ア・(ウー)マン
最終声明:希望は絶望から生まれる
この本に寄せて:キム・ゴードン
この本に寄せて:オリヴィア・ワイルド
解説:清水知子(東京藝術大学教授)
巻末コンテンツ:あるプッシー・ライオットの推薦図書リスト

【3分でわかるプッシー・ライオット小史】
2011年に哲学やジャーナリズムを専攻する学生たちを中心に結成された、ロシアのモスクワを拠点とするフェミニスト・パンク・アート集団。屋外でのパフォーマンスを通じて、ロシアの家父長制社会に異を唱え、ジェンダーの流動性や笑い、分散化や反権威主義を支持する。

2012年、再選(第3期目)したプーチン大統領とロシア正教会への抗議活動として、モスクワの大聖堂で手づくりの目出し帽を身に纏い、反プーチン政権の曲をゲリラ演奏。メンバーの3人が逮捕され、のちに2人(ナージャ・トロコンニコワ、マリヤ・アリョーヒナ)には禁錮2年の判決が下された。

彼女たちの解放を求め、オノ・ヨーコ、パティ・スミス、レディオヘッドなど100名を超える著名ミュージシャンがグループの支持を表明した(2人は2013年に釈放)。

2014年、トロコンニコワとアリョーヒナが創立メンバーとなり、ロシア国内の汚職、裁判、刑務所での問題を報じる独立系通信社「メディアゾーナ」を設立(現在は英ガーディアンズ紙と提携)。

2018年、フランスとクロアチアによるワールドカップの決勝戦に、警察官に扮したメンバー4人が、ロシアの政治的現状に注目を集めるためピッチに乱入した。2022年、トロコンニコワがNFTアート収集集団「ユニコーンDAO」を設立。ウクライナのために700万ドル以上を集めた。

【ナージャ・トロコンニコワ】
アーティスト、アクティビスト。国際的フェミニスト・プロテスト・アート集団プッシー・ライオットの創立メンバー。2012 年、モスクワの救世主ハリストス大聖堂でプーチン大統領とロシア正教会を批判するゲリラ・パフォーマンスを敢行。有罪判決を受け2年にわたって収監された。釈放後は囚人の権利のための非政府組織ゾーナ・プラヴァと独立系通信社メディアゾーナを設立。2022 年にはNFTアート収集集団ユニコーンDAO を立ち上げ、ウクライナのために700 万ドル以上を集めた。レノン・オノ平和賞およびハンナ・アーレント政治思想賞を受賞。現在では数百人の人々が自らをプッシー・ライオット・コミュニティの一員であると認識している。プッシー・ライオットは、ジェンダーの流動性、包摂性、母権制、愛、笑い、分散化、アナーキー、反権威主義を支持する。ロシア連邦シベリア連邦管区ノリリスク生まれ。

ナージャ・トロコンニコワ

【野中モモ】
東京生まれ。翻訳者、ライター。訳書に『音楽のはたらき』(デヴィッド・バーン、イースト・プレス)、『GIRL IN A BAND キム・ゴードン自伝』(キム・ゴードン、DU BOOKS)、『女パンクの逆襲―フェミニスト音楽史』(ヴィヴィエン・ゴールドマン、Pヴァイン)、『世界を変えた50人の女性科学者たち』(レイチェル・イグノトフスキー、創元社)などがある。著書に『野中モモの「ZINE」 小さなわたしのメディアを作る』(晶文社)『デヴィッド・ボウイ 変幻するカルト・スター』(ちくま新書)など。